1970年代はじめ、グルカ社の社長ホッジソンはロンドンのオークションでグルカ兵の使っていたレザーのバッグを入手した。
あの大英帝国盛んなりしころ、英国陸軍で最も精強と声価の高かったグルカ兵の使っていたというカバンは、逞しく強靭なイメージを持っている。ホッジソンはこれにいたく感銘を受けて、布地も革も一流のカバンを試作した。
コール天はコーデュロイの和製英語と辞書に説明している。Corde du Roi(王様の畝(うね))というフランス語で18世紀から紳士たちに使われていた。畝という言葉の通り、田舎の畠をイメージしたものといわれている。田園地方に広大な邸宅を持つ紳士たちが狩猟や魚釣りのスポーツライフに愛用した。
[フャッションメモ]
シャネラーとかグッチャーとか和製英語が流行しているようだ。ブランドものに高い金を払って手に入れた顔つきを眺めると、そぞろ哀れを催したくなる。ならば、ブルッカーという言葉はいかがなものだろう。ブルックス・ブラザーズの背広やシャツを買って喜ぶアイビーリーグ諸大学の学生たちの気持は、シャネルやグッチを手に入れて幸福にひたる少女たちよりも知的でエリート意識に裏づけられている。安っぼいものではない。
[フャッションメモ]
米国の下級裁判所などで、被告席に立つ非行少年たちは、よく背広にネクタイ姿で出廷する。弁護士が裁判官の心証を少しでもよくしたいと思って、少年たちに背広姿をすすめるものらしい。
[フャッションメモ]
テレビを見ていると、出演の批評家やキャスターたちは、いずれも背広のボタンを掛けたままで座っている。
背広の構造上、ボタンを掛けて座ると、背の襟のネクタイの見える部分、つまりVゾーンがいびつにふくれ上がることが多い。また、襟の首の後ろの部分が山なりにふくれて不恰好だ。背広を着て座るときは、ボタンを掛けないのが欧米では常識だ。
[フャッションメモ]
英国のケンブリッジとオックスフォードという大学街の洋服屋には、冬になると何十年来、同じチャコールグレーのフランネルの背広が並ぶ。全店同じ色の背広が揃って売られている。
[フャッションメモ]
カジュアルとかインフォーマルというと、ランクを一つ下げて値段の安い服装と思いがちになる。その良い例が、ジャケットの下にゴルフに着るポロシャツを着たがる傾向だ。が、実は手抜きや油断はタブーなのだ。企業戦士の制服を、着古したものに着替えるだけではサマになり得ない。
[フャッションメモ]
平均的な男性は、いったい何本ネクタイを持っているか? 調べてみると、定説はないようだが『シャツとタイ』という本によると、25本から30本持っているべきだという。ただし、そのうち12本くらいは常用。あるいは、それより少ない本数で済むかもしれない。
[フャッションメモ]
アメリカの女性エグゼクティブは、よくブリーフケースを持ち歩いている。セクレタリーやスタッフと違って、私は管理職ですよと人に見えるようにと、ブリーフケースをステータスシンボル用小道具として使うわけだ。
電車の中などで眺めていると、頭から爪先まで、いちおう身なりの整っている人が多い。が、「頭隠して尻隠さず」的になって、お酒落資金が足先まで届いていない人も目立つ。スリップオン(スリッポン)は気軽に突っかけて歩けるから愛好者が多いのだが、やはりカジュアルでスポーティだけのことで、なんといっても安っぼく見えてしまう。とくに、房つき(タッセル)の飾りは、よそ行きには不似合いなことも少なくない。社交ダンスで軽々とステップが踏めるような軽くて、足にピッタリ吸いついた靴が欲しい。
プロ野球の選手で、塁上に出ると手袋を手に持って走る構えを見せる選手がいる。モーニングを着た紳士が儀礼的に手袋を揃えて持つのは分かるけれども、もっとも機敏に活動しなければならない際に貴婦人みたいに手袋を持つのは、いささか悪趣味だろう。ちょうど選挙運動中の政治家が白手袋で公衆の前に立ちたがるのに似て、不似合いもいちじるしい。
[フャッションメモ]
小物の基本パーツとしては、アスコットタイ1本、ポケットチーフ2〜3枚、ベルト1本、ソックス4〜5足、バッグ1個をあげよう。
[フャッションメモ]
基本パーツとしては茶色のローファーが一足あればよいだろう。ローファーは「怠け者」を意味し、くつ紐を結ばずに履けることからアメリカの靴メーカーがこうネーミングしたものである。ローファーはシューズの万能選手といえるほど応用範囲が広い。ほどよい軽快感があり、ブレザーやボタンダウンシャツとはベストマッチングである。もちろん、スーツの足元に合わせることも可能だ。
普段締めているネクタイであっても構わないのだが、よりカジュアルなイメージのものということでニットタイとカラフルなストライプタイの2本を基本パーツとしてあげた。
[フャッションメモ]
ビジネスコートの定番といえばオフホワイトのステンカラーコート。これ一着あればビジネスからカジュアルまで幅広く着こなすことができるのだが、よりカジュアルなイメージのものということで、ダッフルコートやフィールドコートに代表されるようなカジュアルなアウターが一着あってもよいだろう。
セーターのメリットは、プラスワン・アイテムとして使えることである。基本パーツは、タートルネックとVネックの2枚。どちらもべーシックなセーターであり応用範囲が広い。
[フャッションメモ]
オフィスカジュアルの基本パーツとしてのシャツは、ネクタイをしてもしなくてもサマになるものがよいだろう。その条件を満たすのがボタンダウンシャツである。ボタンダウンとは、シャツの衿先にボタン穴を設けて、衿を身頃にとめるのにボタンを用いたデザイン上の処理を意味する。衿が身頃に固定されているため、ノーネクタイで第一ボタンを開けて着ても下品にならない数少ないシャツといえる。
「オッドスラックス(替えスラックス)」、あるいは「オッドトラウザーズ(替えスラックスの英国式総称)」という呼び方が正式とされる。べーシックなジャケットに合わせやすいのは、やはりべーシックなスラックス。基本パーツとしては、グレースラックスとチノパンツの2本をあげよう。
ジャケットとは、スーツの上着を除く「替え上着」の総称。「オッドジャケット(替え上着)」、「スポーツコート」と呼ぷ場合もある。
スーツは上着とスラックスが共生地で仕立てられているが、ジャケットは上着だけの単品であるため、下に合わせるスラックスが必要になる。このような上下別々の組み合わせを「セパレートスタイル」、あるいはジャケットとスラックスを縮めて「ジャケスラ」と呼ぷ。
紳士服のズボンをプレスして折り目のすじを真っ直ぐにするのは常識になっているが、昔は今のジーンズのように横に折り目があるのが普通だった。今のような折り目(クリース)が習慣になったのは、今世紀になってからのことだ。
-->